スマートフォンを使った拡張現実オンラインゲーム「Ingress」の拠点となるポータルは、
ユーザーが自分で発見、作成することができます。その手段が「ポータル申請」です。
このブログではポータル申請について、自分なりに感じた方法やコツを書いてみたいと思います。

This is an unofficial guide for Ingress Portal Submission. Sorry, Japanese only.

実践編:ポータルハントに出かけよう

タイムリミット寸前!

こんにちは。気がつけば今年もあと数日。すなわち、ポータルLiveしてもSeer実績がつかなくなるまであと数日です。

すでに帰省など、地元を離れた場所でポータル候補を探している方も多いのではないかと想像しています。そのときの参考に…と楽しみにしていただいていた方には、お待たせして申し訳ありません。諸事情ありまして、前回の記事から間があいてしまいました。

本当は残りの内容を数回にエントリー分けて書くつもりだったんですけど、必要そうなことは今回でひととおり書ききらないとダメですね。というわけで早速本題へまいります。

今回は「Seerの目の鍛え方」です。ポータルハントって、続けていくことで不思議とそれまで見えていなかったものが見えるようになるものなんだということを実感していて、このことを僕が勝手に「Seerの目」と表現しています。メダルのデザインからすると“心眼が開いた”とも表現できそうですが、Enlightenedじゃない僕としてはちょっと抵抗があります(笑)。

それはさておき、自分がこれまでポータルを見つけてきた体験談をベースに、こういう行動するとポータル候補が見つけやすくなるのではないか、というケースをいくつか挙げていこうと思います。

スキャナから目を離してみよう

まずは普段のエージェント活動しているときの話。

当然ながらポータルはスキャナ上に表示されているので、我々はスマホタブレットの画面に注目します。レゾネータを入れてハック、リンクを張って、シールドも入れて…これでよし。活動完了。いざ次のポータルへ…とその前に。

ちょっとだけ立ち止まって、ポータルの写真に映っているものの実体を眺めてみませんか?そこには既にポータルになった教材があるのですから。そう、これこそがポータルを見る目の養い方の第一歩です。

神社仏閣や教会、あるいは大きな建物やモニュメントであれば、ポータル写真と同じ威容が目の前に広がっているはずです。たとえば既存写真の構図より良い場所から眺めていたり、桜や紅葉のきれいな季節で残す価値があると感じたら、追加写真を撮って申請してみても良いかもしれませんね。

一方、彫刻や石碑などの場合、すぐに見当たらないこともあるかもしれません。この場合、ちょっとその実体がどこにあるか、探してみましょう。見つけてみたら驚くほど小さかったり、回り込んだ裏側に隠れていたりすることも案外あります。

ポータル候補は目線の高さにあるとも限りません。

たとえば手前味噌ですが、自分の申請した「プチ仁王像」。東急東横線綱島駅の目の前にあり、運が良ければ電車内からもアクセスできるので、エリアの方は訪問したこともあるかもしれません。

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ところで、実体をご覧になったことはありますでしょうか。写真は上のような感じなのですが…*1

実体は屋根の上にある、とても小さな像です。小さくてかわいいので、つい「プチ」をつけて申請してしまいました。

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ポータル候補が目線の高さにあるとは限らない例はほかにもあります。いろいろな場所で見かける地面のプレートが代表的なものです。

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モザイク状のタイルが敷き詰められた道路では、ところどころプレートが埋まっていることがあります。1個や2個ということの方がまれで、多ければ数十個あるでしょうから、見つけられれば大量申請のチャンスです。

このように「ポータル実体探し」をしていると、上を見たり下を見たり、あるいは裏側を覗いてみたり、けっこういろんなパターンがあるものだなーと実感するのではないでしょうか。ちょっとした宝探し状態で、それ自体も楽しいんですけど、答えを見つようとすることで自然とポータルがありそうな場所に目が向くようになります。楽しんで学ぶ効果があるのが、ポータル実体探しです。

また、ポータルの色や形などにも特徴があるものが少なくありません。たとえば日本の郵便局はオレンジ色の看板。神社や祠の屋根が青緑色なのも特徴的ですよね。不思議なもので、そうしたパターンを知らず知らずのうちに覚えてしまい、自然と眼の端に捉えられたときに反応できるようになるんですよね。いかに人間の目が多くの情報を捉え、そのほとんどを意識下で捨てているのかを実感できます。

周りを見回してみよう

ポータル実体探しや、実際の申請活動を通じて、自分の中の「ポータル候補データベース」を増やしていくと、同じ道を歩いていてもそれまで見つからなかったものが見えてくるのですから、不思議なものです。以下、僕が「Seerの目」が鍛えられたと実感した体験談です。

東急東横線綱島駅近辺に「綱島鎮守」というポータルがあります。綱島街道沿いの、70段ほどある階段の上にあるポータルで、真上に立つのが難しくて敵に取られると厄介なポータルです*2

その日も敵方に取られていたので、取り返すためにポータルのもとへ。

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鎮守のご本尊はこの長ーい階段の向こう側にあります。

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わざわざUltra Strikeのためにこの階段を登る気力も起きず、階段の下で、中心から外れたままX8をバカ撃ちするも、ぜんぜんシールドが剥がれず、ひと休み。

ふと、道の反対方向に目をやると…見えたんです、何かが。よくわからないけれど、立木の向こう側に、神社の屋根に特徴的な青銅色がチラリと見えました*3

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気になってその場所へ行ってみると、なんとそこには小さな祠がありました。今まで何度も目の前を通過しているのに全く気付いていなかった!きっと長らくポータル申請活動をしてきたことで、それらしいものに条件反射するセンサーが身についたのでしょう。そうとしか思えませんでした。

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現時点ではこのポータル申請はまだ審査中です。そのうちポータルが新たにできていたら、是非訪れてみてください。

ポータルのない方向へ行ってみよう

エージェントたるもの、どうしてもポータルのある道を歩きたくなります。ポータルのためなら敢えて遠回りするなど日常茶飯事。僕もバカExplorerですので、その心理はとてもよくわかりますし、実際そうすることが多いです。

しかし、ポータル職人としては、敢えてポータルのない道へ入ってみるのも無駄ではありません。土地勘のある場所でも、すべての道を通ってみたことがある人ってほとんどいないのではないでしょうか。そこにまだ候補が眠っている可能性があるならば、是非一度は自分の目で確かめてみてください。ポータルがある道の一本となりなど、エージェントだからこそ盲点になっている可能性もありますしね。

たとえば何の変哲もない住宅街も、無駄足と思わずに一度歩いてみると、意外なものを発見できたりします。

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こんな道を進んでいくと…お?なんか立て札?

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覗いてみると「厳島神社」と書いてある。住宅に挟まれてこんな山道が!

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急な階段を上っていくと…

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あった!確かに神社がありました。

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というわけで晴れてこの神社はポータルとなりました。

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このほかにも、住宅街の曲がりくねった辻の先、エアポケットのようなスペースに公園があったりすることは意外とあります。

ポータル検索というトップダウン手法も強力ですが、足で地図を塗りつぶすボトムアップ手法も侮れないものです。歩いている途中にGoogleマップなどの地図アプリを立ち上げ、近隣のランドマークを探してみる「ハイブリッド手法」もおススメです。

ポータル空白地帯を探してみよう

前回のエントリーでも述べましたが、Intelマップ上でポータル空白地帯を探してみるのは、効率的なポータルハントの重要な手段です。他の地図と見比べて、神社やお寺、公園などのポータル候補があるのにポータルが存在しないエリアを見つけたら、まとまった時間を取って、訪問してみるのです。

もちろん事前に回る候補地をリストアップして臨むわけですが、そのリストだけに囚われず、周りを見回し、自分の目でポータル候補を探しながら歩くことを忘れずに。

特に気をつけたいのが、現地の地図。自治体や商店会などがエリアの案内図を設置していることがあるのですが、これが広域マップには決して記載されていないポータル情報の宝庫だったりします。

僕が「獅子ヶ谷市民の森」というエリアを申請しに行ったのも、ポータル空白地帯だったのがきっかけだったでした。事前に「ゼンリンいつもNAVI」の地図と見比べて、お寺や神社をリストアップしましたが、それと同じかそれ以上に役に立ったのが、現地で発見した地図でした。

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庚申塔や石碑まで載ってる!事前にリストアップできなかった情報です。すぐさま地図の写真を撮影して、ことあるごとに眺めながら申請行脚を楽しみました。

こんなものもポータルになります

上記のような散策をするときに、ポータルを見つける「Seerの目」が備わっていると収穫量はアップします。そうした目を「ポータル実物探し」で養うことはすでに述べました。

中には「え?こんなものが?」と疑問に思うポータルもけっこう街中には存在すると思います。下記のようなものは、先日取り上げたポータル候補基準に合致しないように感じられるかもしれません。

とはいえ、認められているものの傾向と対策を頭に入れておくと、同様のものを見かけたとき「申請できる!」と条件反射できるようになります。決して採用率が高くないものもありますが、知っておいて損はないのではないでしょうか。

時計

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前エントリーで述べたものの繰り返しになってしまいますが、時計はポータルによく採用されています。大きな建物の時計台、公園の時計塔のほか、お店が街ゆく人向けに設置した時計が承認されているケースもあります。

坂の表示

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東京には坂がたくさんありまして、名前が表示されていることがあります。この表示がポータルになることもあります。ただ経験的に確率はあまり高くありません。

橋の名前プレート

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あまり確率は高くありませんが、何の変哲もない橋の名前プレートが通ることもあります。もちろん特徴的な形状の方が通りやすいのは言うまでもありませんが。

他人の目をアテにしよう

さて、ここまでは自分の「ポータル職人力」を高める手段でした。実はさらにもう一段、ポータル候補発見力を高める方法があります。“他人の目”を借りる、すなわち自分よりそのエリアに詳しい人に教えてもらうという方法です。

自分がよく知っているエリアには、たとえば小さなお地蔵さんなど、Ingressを始める前から存在を知っていた史跡やランドマークがいくつかあるのではないでしょうか。それがポータルになっていなければ申請すればよいわけですよね。同様のことを、他の地域に詳しい人の知識を借りて実行するわけです。

具体的なアクションとしては、まず自分がIngressをプレイしていてポータル候補を探していることを公言します。そして、その知人と行動を共にする機会があったら、「こういうものがポータルなんだよ」と、実際にポータルになっているものを街中で教えます

もちろんそうした行動を通じて興味を持った人がいれば、自陣営に勧誘して一緒にエージェント活動するのも楽しいでしょう。とはいえ「陣地を取って取られて」という部分は万人向けのゲームとは言えません。僕の場合、いちおうリクルーティングはしてみますけど、積極的に食いついてきた人以外にはあまり強く薦めないようにしています。

ただ、Ingressというゲーム自体の主旨に興味を持てない人でも、ポータル候補探しには意外と興味を持てることが多いようで、そういった方から教えてもらったものを申請し、後日「採用された」と報告すると喜んでくれるものです。

たとえば、母がとあるゴルフ場のコース内にお地蔵さまがあることを知っていました。ティーショット前に手を合わせる人もいるのだとか。そこで、実際にラウンドに行った機会を逃さず、ティーショット待ち中にすかさず申請!無事、受理されてポータルになりました。

また、僕は広島県福山市での申請実績が多いのですが、実は妻がゆかりのある土地でして、自分自身はほとんど土地勘がありません。そこでも妻の友人が「この先にお地蔵様がある」と教えてくれ、クルマで連れて行ってもらい、あまつさえ暗い中ヘッドライトで照らして撮影を助けてくれたこともありました。親切すぎる!惜しむらくは、エージェントとしてのリクルーティングには応えてくれなかったことくらいでしょうか。

たとえば妻や夫の帰省先におられる方などは、先方の親戚に尋ねてみると耳寄りな情報を得られるかもしれないですね。試してみてください。

…ちょっとゆるかったですかね?

以上、ひととおりエージェントとしての「Seerの目」の鍛え方を述べてきましたが…いかがでしょうか。もしかすると「そんな悠長なことしてる時間がない!」と、期待はずれという感想をもたれた方も多いかもしれないなー、と自分で読み返したときに思ってしまったわけですが。

タイムリミット付きで実績がかかっている現状、どうしても効率よく、という気持ちが先行してしまうことはやむを得ないと思います。実際、僕自身だって実績が凍結されている状況でここまで精力的に申請していたかというと怪しいものです。

ただ、僕が思うに、ポータル探しって本来ゆるいものなんですよね。特に明確な目的もなく街をそぞろ歩き、ちょっと面白い、皆に来て見てもらいたい物を見つけたらシェア(申請)してしまう。「ブラタモリ」の世界観です。ここは敢えてそのゆるさも感じていただきたいと思っております。

ミッションができて、それまで関連性のなかったポータルにも相互に結び付いた意味が生まれました。私の記憶が確かならば、Ingressヘルプのポータル候補基準に記載されている「秘宝やその地域ならではのスポット」は、以前はなかった、新たに付け加えられた項目です。Niantic Labs運営が、旅行ガイドとしての側面を一層押し出していこうとしている印象を受けます。

もちろんポータル巡りもそれ自体夢中にさせてくれるものですが、スキャナ内にとどまらず、実世界も観察してみてください。結果として何かを見つけられても、あるいは見つけられなくても、その積み重ねが将来ふたたびPotals Discoveredカウントが復活した時の礎となると思います。

何より実績としての魅力しか感じられない方にぜひお伝えしたいことが、ポータルハントは楽しい!ということです。だまされたと思ってやってみてください。見つけたものは、実績度外視で申請しても良いですし、いずれ実績カウント復活時まで自分の中で温めておくのも良いと思います。

今回のまとめ

  • ポータル実体探しを実践すると、ポータル候補の傾向と対策が身につき、「Seerの目」が養えます。
  • 周りを見回してみましょう。敢えてポータルのない道も歩いてみましょう。
  • Intelマップでポータル空白地帯を探し、申請の旅に出てみましょう。
  • 現地に設置された案内マップには、他にはないポータル候補情報が載っています。
  • 周りの人に、自分で見つけられなかったポータル候補を教えてもらいましょう。

次回予告

いちおうフィールドワークとしてのポータル申請について、いま述べたいことはひと通り書いたつもりです。

これで終わり!でもいいんですけど、Seer凍結期限と直接関係のないことで書き残しも少しあるので、次回はその辺をつれづれなるままに書こうと思います。たとえばポータル申請が却下されたときの対応などです。そこまでお付き合いいただける方がおられましたら、是非ご覧ください。

 

*1:説明文をつけたのは僕ではありません。どなたか存じませんが、ありがとうございます。

*2:実はこれも自分の申請です。階段の存在は知っていましたが、登ったのは申請時が初めてでした。「難攻不落ポータルになるに違いない」と目論んでいたのですが、攻めづらいのはお互いさまでした。合掌。

*3:残念ながらこの写真では伝わらないと思うんですけどね…。取材時刻の都合で、当時と同じ状況は再現できませんでした。ただ、そのときは太陽の角度の具合か、ちょうどこの向きで青緑色が見えたのでした。