基礎知識:ポータルになるものってどんなもの?(前編)
イベントお疲れさまでした
こんにちは。私 tacosx も、12/13 に東京で開催されたIngress史上最大のイベント、ダルサナアノマリーに参加して参りました*1。皆さんは参加されましたでしょうか。イベントについてご存知ない方は、下の公式イベントページを見るか、「ダルサナ」で検索してみてください。プレイヤー目線でのレポートがたくさん見つかるはずです。
#Darsana XM Anomaly: Primary Site, Tokyo, JP - Google+
東京の市街地をバトルフィールドとして5000人にも及ぶエージェントたちがポータルを奪い合ったわけですが、それもさることながら今回の最大のハイライトはやはりこれでしょう。日本をすっぽり覆う巨大なCF!
Enlightened陣営が戦いを有利に進めるために用意周到に計画し、遂行したCF。それを吹雪の襟裳岬へ破壊しに走ったResistanceエージェントの奮闘は、改めて僕が語る必要もないでしょう。
それにしても、こんな半島の先端にポータルが生えているものなんですねぇ。
…って思ったあなた。いや違う、そうじゃない!実は、半島の先端にはかなりの確率で記念碑やら記念館やら、それっぽい建造物が設置されているものなんですよね。みんな先っちょが大好きなのです。
今回のようなIngressの大規模イベントでは長大なリンクが鍵になることが少なくないのですが、他のリンクに邪魔されることなくリンクを張る計画には、海に面したポータルは非常に重要です。
とはいえもちろん、記念碑が存在するだけではポータルになりません。…そう、誰かがポータル申請して初めてポータルになるのです。
かつて(Ingress的に)何もなかった場所へ足を運んだ人のおかげで、こうしたイベントも成り立っているんですね。しみじみ。
というわけで今回もポータル申請のススメ、行ってみましょうー。
ポータルの審査基準は公式ヘルプに載っています
さて。今回のテーマは「どんなものがポータルになるのか?」です。審査を通りやすいポータル申請の傾向と対策について、ということですね。
実はIngress の公式ヘルプに、ポータルの審査基準がしっかり書かれています。まずはこれを確認しておきたいと思います。
平易な日本語で書かれていますので、皆さん一度は目を通していただきたいのですが、ここではやはり特に気になる「承認基準」について取り上げます。以下、一つずつ例を挙げながら考察していきましょう。
興味深いエピソードがある場所や、歴史的または教育的に価値のある場所
- 場所や対象物の面白いエピソード
- 歴史的な意味(単に古いだけではない)
- 史跡
日本は歴史の古い国なので、史跡にあふれています。試しに自分の住んでいる市区町村の名前と「史跡」とでググってみてください。けっこうたくさん出てきませんか?おそらく初めて知るようなものも意外に近所にあって驚かれるのではないでしょうか。
こうした文化財、史跡を紹介しているホームページは各地方自治体によって運営されていることが多いです。たまに民間の有志によりまとめられているものもあるようですね。
…お気づきですよね?こうしたホームページはポータル候補の宝庫です。もしポータルになっていない史跡があったら、ぜひ申請してみましょう。
「史跡」というわかりやすい単語検索でヒットしてしまうページだと競争率も高いかもしれません。でも、ダメもとで数を撃つのはポータル職人の基本です。ポータル申請に慣れる意味も込めて、ぜひ一度トライしていただきたいものです。
わざわざカッコ書きされているとおり、年代的に古いものでなくても歴史的な意味が見いだせれば認められることがわかっています。手前味噌で恐縮ですが、東京・夢の島に展示されている「第五福龍丸」なんてまさにそういうポータルだと思います。
「何それ?知らない」という方も、その悲しい歴史的事実を知るだけでなく、現地に足を運んで、感じていただきたいと願ってやみません。申請者の僕にとっても、外国の方にも知ってもらおうとマジメに英語でポータル説明を書いた、思い入れのあるポータルです。
ちなみに第五福龍丸は「江東区 史跡」では検索にヒットしませんでした。やっぱり史跡というわけではないんですね。
これほど有名なものでなくても、「場所や対象物の面白いエピソード」とガイドラインにもあるとおり、ちょっとしたエピソードや由来を持つスポットは、探せばまだまだ見つかるのではないでしょうか。
ただこうした地元に根付いたスポットを見つける方法は、僕も足で稼ぐ方法以外に知りません。どなたか良いメソッドをご存知の方おられましたら是非お教えいただきたいです。
興味深い芸術作品や他では見られない建築
- 彫像、絵画、モザイク、ライトアップなど
- 芸術品を紹介している場所(パフォーマンス アート シアター、美術館など)
- 著名な建築家が設計した建物や建築様式が特に有名な建造物
美術館はもちろんですが、官公庁や大企業のビル、あるいは商業施設の建物の周辺に彫刻が建っていることは結構あります。たまに建物の中に設置されているケースもありますが、一般人が遠慮なく入れる場所であれば申請しても良いと思います。ただ、トラブル回避のためにも、写真撮影の前にひと声確認した方がいいでしょう。
地元の商店会などがお客を呼び込む策としてアート作品を設置していることもあります。そういう場所を見つければ、通りに沿って並んだ大量の彫刻や絵画を申請するチャンス!自分の身の周りにそういう場所がないか思い出してみましょう*2。
「なるほど、ライトアップもOKか。ちょうど今、街はイルミネーションであふれている。さっそくショッピングモールのクリスマスツリーを申請!」…と行きたいところですが、残念ながらこれは無理なんですね。
ガイドラインの「申請しないでください」の項目には「1 年のうち特定の期間に限定される季節的な展示など、永久的ではない候補。」という記述があります。
シーズンが終わると撤去されるクリスマスツリーは申請しないでおきましょう。ポータルはエージェントを実際のオブジェクトへ導くガイドである…という基本に立ち返ると、いずれ消えてしまうものを申請するのは、せっかく足を運んでくれた人たちに対する裏切り行為ですものね*3。
「じゃあずっと生えてる木が今だけクリスマスツリーになるのはOK?」…どうでしょう、ライトアップされていない普段の木がポータルとしてふさわしいかどうか次第じゃないかと思います。
歴史的・文化的価値がある建造物もポータルになり得ます。ただ、特に外見が単なるビル等では、そういった価値は写真から伝わりづらいので、できるだけわかりやすいい説明で補足すると良いでしょう。それがひいては訪問するエージェントにとっての情報にもなるわけですし。
なお、アート作品の応用編(?)として、こんなものも採用されることがあるようです。
お店などのシャッターに描かれた絵も、個性的なものであれば採用されます。閉店中しか見られないものなので、定休日や早朝を狙って写真撮影してみましょう。
鉄道と道路との立体交差、いわゆる架道橋の下を走る道路の壁面には絵が描かれていることがよくあります。特に鉄道の高架化が進んでいる都市部ではそこそこ見つかるはずです。
秘宝やその地域ならではのスポット
- 初めて遊びに来た友だちを連れて行くような人気のある地元のスポット
- 地元の人は知っているが、外部の人にはあまり知られていない人気のあるスポット
- 地方色や文化を紹介する、その土地ならではの観光スポット
- 人里離れた観光名所(つまり、地元でなかったら必ずしも訪れるかわからない場所)
これは明確に「これだ!」という例を提示するのがなかなか難しいのですが…。あ、上の写真は神奈川・江の島にある「龍恋の鐘」というリア充御用達スポット(笑)です。例えばこういうことなのかなぁと自分なりに考えまして。
自分の知っている地域で「行ったら面白いぞ」と思いつくところを、そのまま申請すればよいのだと思います。ご家族や近所の方が以前から住まわれているなら、そうした地元のことを知っていそうな方に聞いてみるのも良いでしょう。申請の際には、そこが行くと面白い場所だということを説明文でアピールするのが重要そうです。
ちなみにこのジャンルで僕がパッと思いついたのが、舞岡公園。「どこ?」って方がほとんどだと思いますが、それでこそ地元民のみぞ知るスポット!神奈川・横浜市は戸塚区にあるのですが、広場や森林だけでなく田んぼがあって農業体験ができたり、あとバードウォッチングでも有名なスポットです。
そこにポータルがあるのか?と疑問にお思いかもしれませんが大丈夫。僕が生やしておきました(笑)。なんとミッションもできてますので、是非訪問してみてください。そこそこアップダウンのあるトレッキングになるので歩きやすい靴で臨むのがお勧めです。
最後の項目「人里離れた観光名所」というのは面白いですね。普通なら訪れることもなかったであろう土地でも、ポータルさえあればエージェントはどこでも行きます。是非エクストリームなポータルを作ってみてください。
ただし危険な場所はダメですよ!「歩行者の安全性が確保できない場所にある候補」も明確にガイドラインに禁じられています。安全にアクセスできる秘境ポータルを期待しています。
別のジャンルとしては、地域のお店の看板も承認されることが多いです。ポイントは「そこにしかない」ことで、個人で経営する商店やレストランが自分の店のためだけにデザインしたものであれば基準を満たすと言えるでしょう。
といっても実は、けっこう日本各地でよく知られたチェーン店の看板やマスコットが少なからずポータル化しています。審査の人(日本人ではありません)が、日本ではありふれたデザインだと知らずに通してしまったとしか思えないわけですが…
実績稼ぎという意味では美味しいのでしょうけど、私見としてはお勧めしません。もちろん僕個人の意見ですので、断定的に言うつもりはないのですが。
敢えて口はばったいことを述べるとすれば、ポータル写真に記録された自分の名前を見られても恥ずかしくないかどうか、SENDボタンを押す前にちょっとだけ振り返る習慣をつけると良いように思います。
…閑話休題。ともあれ、この項目に関してはこの辺りが僕の発想の限界です。上記の他にも「こんなのあるよ!」というものがありましたら、地元自慢も兼ねて情報をお寄せいただけますと幸いです。
地域の人が集まる場所
- 地域の人達が集まってその地域の活性化につながっている場所
- 地域の人達が集まって過ごせるような憩いの場
日本武道館のように大きな施設ももちろんポータルになっています。が、地域の地区センターや公民館などは意外とポータルになっていないところも残されているのではないでしょうか。
これも、地域の自治体のページなどを検索すると確認できると思いますので、一度覗いてみてはいかがでしょうか。
この分野はあまり僕自身も申請経験がないため、上記以外の例をあげることができません。たとえば地元の碁会所とかどうだろう…とか思いつきはするんですけど、確信が持てないんですね。どなたか申請体験を教えていただけるとありがたいです。
発見したい、活動したい気分にさせるランドマーク
- 「歩いて冒険」したくなるような場所
- アウトドアの探検心を呼び覚ます
公園がこれに該当します。先ほどご紹介した舞岡公園ほどアウトドア感たっぷりのものに限らず、街中にある小さな公園も立派なポータル候補です。
一般的に、公園も地方自治体の管轄です。…と述べれば、するどい方はお気づきかと思いますが、自治体のホームページに公園一覧が掲載されていることが結構あるんです。実際、自治体ページで公園をリストアップして、片っ端から申請して回ったというエージェントの方もおられます。
すごいぜ自治体ホームページ!知りたいことは何でも載っているんですね(ポータル職人的に)。
申請する際のコツとして、公園内の風景よりも公園名が表記されたプレートを撮影した方が採用されやすいというものがあります。現在のガイドラインからは削除されましたが、以前は「公園入り口の標識」と明記されていました。現在でもその基準は生きているようで、多くの公園ポータルは入口プレートを大写しにした写真となっています。
個人的なこだわりとしては、単なるプレートでは面白くないので、公園名が読める程度に引いた構図で、園内の様子もできるだけ写真に収めることを心がけています。
公園の中に噴水や人工滝などの水場、あるいは園内に設置された時計塔があれば、これも申請してみると良いでしょう。どういうわけか噴水と時計塔はよく通ります。この2つは公園に限らず、街中で見つけたら申請してみましょう*4。
ところで、最近は公園内の樹木につけられた表示板がポータルになっているケースも見かけるようになりました。先日イベントで日比谷公会堂に行った方も、日比谷公園内にそうしたポータルを多く見かけたのではないでしょうか。
これには正直、僕も意表を突かれました。そして「ちょっとこれは基準が緩すぎるんじゃないのかなー」というのが第一印象でした。
ただ、その後いろいろ考えてみた結果、個人的には少し考えを改めつつあります。すなわち、広く一般の人に認識してもらうことを目的に付けられた札だという意味では、アリなのかもしれない、と。
おそらくこの表示板は、公園の管理者の方が丹精をこめて育てた樹木を、せっかくなら訪れたみんなに興味を持ってもらえたら…という願いのもとに設置されています。ポータルになることで人々をその場所へ誘導できるなら、設置者の意図と合っているとは言えないでしょうか。
ポイントは「広く一般に」というところだと思います。上記の基準を拡大解釈すると、「民家の庭先の置物だって、みんな見てもらうためのものだろう?だったら申請して問題ない」ということになりますよね。
実際には、それらは街の景観のためというか、ご近所づきあいのある方々に向けたものであって、多数の見知らぬ人が訪れることを期待したものではない可能性もあります。確証が持てないならば、Seer実績欲しさをグッとこらえて申請をあきらめることも肝要だと思います。
この辺りは判断が難しいところですが、つまるところプレイヤー個々の良識が問われていると言えるでしょう。先ほども書いたとおり、申請者が自分と知られて胸を張れるだろうか、と常に考えるようにすれば、「Seerの目」が磨かれていくように思います。
…かく言う僕自身、数多くの申請をしてきて「マズかったかな」と反省した経験があります。大きなことは言えません。
皆さんはとにかく恐れずにどんどん申請していただきたいと願う半面、気を使って欲しい場面はできるだけ自分の経験から伝えて参りますので、私と同じ轍を踏まないよう心の片隅にとどめていただければ、と願うばかりです。
長くなってきたので続きは後編で
以上で公式ヘルプの「承認基準」についてひと通り考察しました。いかがでしょうか、自分の身の回りにもポータル候補が結構ありそうだという気がしてきましたでしょうか。もう実際に候補を見つけた!という方がおられたら喜ばしいことです。
ガイドラインのメイン部分のおさらいは、これで半分です。もう半分「特別な賛同候補」という項目があるのですが、だいぶ長くなってきてしまいましたので、続きは次回に譲らせていただこうと思います。お楽しみにー。
今回のまとめ
- Ingressヘルプに、ポータルの承認基準が明記されているので頭に入れておきましょう。
- 史跡や地区センター、公園は自治体のホームページなどに一覧されていることが多いです。
- 屋外アートは通り沿いやエリアに固まって存在することもあります。
- 地元の強みを発揮して、自分しか知らない面白スポットをポータル申請してみましょう。
- ポータル申請の際には本当に妥当か、少し考えてみるクセをつけましょう。
- (おまけ)半島などの先端を調べてみるとポータル候補に巡り合える…かも。
次回予告
次回も引き続きIngressヘルプのガイドラインを読み解きます。今度は「特別な賛同候補」について触れていきたいと思います。
*1:もしかするとお近くの方もおられたかもしれませんね。私は新橋~愛宕~神谷町~虎ノ門ゾーンにいました。
*2:実は、そういうアート作品を僕がまとめて申請済みの場所が1か所あります。この記事読んで申請して、僕のが生えたら恨まれそう…。勘忍ね。
*3:先月ポータルが生えまくったときに、六本木ヒルズにも季節ものポータルが生えてしまったんですよね。一時的に審査基準が緩くなっていたものと思われますが、同じ手は今後通用しないと考えたほうが良いです。
*4:一時、「鉄板」といわれていた時計塔がリジェクトされる時期もありました。同じことがお地蔵様でもあったようですが、現在は再び承認されやすいものとなっています。審査基準はわりと揺らぐことがあるので注意が必要です。